ビジネスコミュニケーション手法の改善(第10回)
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公開日:2018.03.27
所得拡大促進税制は、アベノミクスの「3本の矢」の成長戦略を推し進める施策の1つとして、2013年度税制改正で創設されました。デフレを脱却するには消費の拡大が求められます。そのためには国民の所得を増やす必要があるので、企業が従業員の賃上げを行うモチベーションとなることを狙った税制を設けたのです。
創設から5年目にあたる2018年4月1日以降に開始する事業年度からは、要件を大幅に見直した新たな所得拡大促進税制が適用となります。今回は所得拡大促進税制とはどのような制度かを説明した上で、前年である2017年度税制改正から2018年度税制改正への変更点について解説したいと思います。
所得拡大促進税制を簡潔に説明すると、企業が従業員の給料をアップすると税額控除が受けられる制度です。具体的には、一定の要件を満たした場合、基準となる年度と比較して給与の支給額が増えた分の10%を税額控除できます。
税額控除というのは、法人税などの金額を直接減額してもらえることを意味します。税制上の優遇策には税額控除のほかにも、一定の額を損金に算入できるというパターンがあります。一定の額が損金に算入されると、その分だけ課税される所得が減少し、それに税率を掛けた額に相当する税金が安くなります。
税額控除は、税率を掛けた後の税額から直接差し引かれるものですので、同じ金額であれば損金に算入されるよりも税金の減額効果は大きくなります。
創設時の所得拡大促進税制は、(1)給与等支給額が基準年度(2012年度)と比べて一定割合以上増加(2)給与等支給額の総額が前事業年度以上(3)平均給与等支給額が前事業年度を上回るという3つの要件を満たすことで、給与等支給額の増加額の10%(ただし、大企業では法人税額の10%、中小企業者※では法人税額の20%が限度)を税額控除できることとなっていました。
なお、所得拡大促進税制などを含む租税特別措置法における中小企業者とは、資本金または出資金が1億円以下の法人、資本金または出資金を有していない場合には常時使用する従業員の数が1000人以下の法人を指します。
要件の(1)にある「一定割合」は当初5%となっていましたが、ハードルが高いことから導入翌年の2014年度税制改正で早々に緩和が図られました。その結果、2014年度までは2%、2015年度は3%、2016年度は4%(中小企業者では3%)、2017年度は5%(中小企業者では3%)となりました。
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執筆=北川 ワタル(studio woofoo)
公認会計士/税理士。2001年、公認会計士第二次試験に合格後、大手監査法人、中堅監査法人にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップ企業の支援から連結納税・国際税務まで財務・会計・税務を主軸とした幅広いアドバイザリーサービスを提供。
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