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公開日:2018.04.05
年をとるほど賢くなる「脳」の習慣
バーバラ・ストローチ 著、監修/池谷裕二、翻訳/浅野義輝
日本実業出版社
脳と老化に関する本です。「人間の脳は、年齢とともに衰える」と考えられています。本書は、それは間違いだとし、むしろどんどん成長し、できることは増えていくといいます。確かに年を取ると「人の名前が思い出せない」「何をしに行ったのか忘れる」ということになりがちです。でも、最近の研究によると、脳は年齢とともに新しい機能を備えていくそうです。
そして、中年期こそ脳を最も効率よく使いこなせるようになり、その状態が長く続くのです。このあたりの実態について、最近の研究成果などに基づいて解説してくれます。はじめに「人間の脳は、年とともに衰える」という先入観を解明します。「中年の危機」など、脳にまつわる都市伝説や迷信などの誤りを指摘します。
次に、大人の脳の優れた側面を紹介します。「問題の大枠をつかみ、効率よく処理する」「つながりを見つけ早期の解決に導く」「ストレスに対応する」などです。これが中年以降の武器となります。もちろん、ただ年を取ればいいわけではありません。脳を活性化させる必要があります。
そこで、後半で、脳を武器にするために必要なエクササイズ、食習慣、脳トレなどの習慣を紹介します。といっても、難しいことや特別なことは必要ありません。ランニングをすることや、毎日ブルーベリーやワインを飲むこと、脳トレゲームや語学に興じるなど、ちょっとしたことで十分です。
読者の中にも、中年期に差し掛かった人は少なくないと思います。そういう人たちが、これからも脳を武器にして、楽しい生活を送るために必要な本だと思います。私も40代に入った頃から脳の衰えを感じるようになりました。「物忘れをする」「人の名前が出てこない」「新しいことが覚えられない」など日常的に経験しています。
これを「年だから」と諦めるのは簡単です。でも、そうすると一挙に老け込みそうな気がします。だから、懸命にあらがうことにしています。それで、いまさら新しい勉強を始めたりしています。でも、あらがうほどに現実を突き付けられます。若い人に比べて、明らかに覚えが悪く、忘れるのも速いのです。それで時々くじけそうになります。そんな私も、本書で大いに勇気づけられました。
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執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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