税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第103回)「2割特例」ってどんな制度?

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2024.06.20

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 前回は、インボイス制度スタートから半年以上経過したものの、懸念事項があるとお話ししました。今回は、免税事業者だった方が適格請求書発行事業者になった場合の負担軽減措置である「2割特例」について、分かりやすく解説します。

 まず2割特例の趣旨を説明します。この背景にあるのが、売り手が免税事業者で買い手が本則課税を適用している場合、2026年9月30日までは80%の仕入税額控除が認められる経過措置です。

 例えば売り手がサービス業を営む免税事業者であり、買い手が本則課税を適用している事業者で税込み1100円の対価を支払っている場合を考えてみましょう。買い手の仕入税額控除は、2023年9月30日以前は100円でしたが、10月1日以降は80円になりました。

 売り手が免税事業者のまま、この「20円を負担(値引き)」させる場合と、売り手が適格請求書発行事業者となり、簡易課税制度を選択して「50円を納税」させる場合を考えると、売り手の負担は免税事業者であり続けた方が軽くなります。いわゆる益税解消に向けて、適格請求書発行事業者になってもらうための優遇措置として、2割特例という激変緩和措置が講じられたのです。

 2割特例の計算方法は、簡易課税制度における第二種事業(みなし仕入率80%=付加価値が2割)と同様ですが、簡易課税制度との違いがあります。簡易課税制度は、適用を受けたい課税期間の開始の日の前日までに届出書を提出する必要があり、適用を受けた場合は2年間の継続適用が義務付けられています。

 一方、2割特例の適用を受ける場合は事前に届出書を提出する必要がなく、申告書に「○」を付すだけです。2年間の継続適用の縛りもありません。明らかに2割特例の適用を受けた方が有利であれば、本則計算や簡易課税による納付税額の計算を行う必要もありません。適用事業者は「インボイス制度を機に、免税事業者から適格請求書発行事業者となった事業者」ですので、基準期間の課税売上高が1000万円以下の適格請求書発行事業者が対象となります。

消費税の納税額を軽減…

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