オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2018.12.26
連載の第21回でも紹介したように、2017年から2018年にかけて「節税保険」と呼ばれる生命保険(定期保険)が経営者の間で広く知られるようになりました。節税保険とは、経営者の死亡時に保険金が支払われる生命保険の一種で、保険料が全額経費扱いにできること、一定期間後に解約すると支払額の多くが解約返戻金として戻ってくることなどが特徴です。
以前から保険料を全額経費扱いにすることで、法人税の節税につながるという保険商品は存在していました。節税保険はそうした商品よりも多額な保険料を全額経費扱いにできることなどが受け入れられ、加入数を増やしていました。
しかし、保険各社が相次ぎそうした商品をラインアップすると、節税効果や多額な返戻金をPRする営業活動が加熱します。その影響もあって、金融庁がPR内容や返戻金の実態などについて問題視し始め、2018年半ばから各保険会社への調査を強化しました。それにより節税保険の新商品発売が延期されているという報道もありました。
金融庁による調査が強化されたのは、企業の節税を目的とした保険という面がクローズアップされたことが要因だと思われます。そこで今回は「万が一のための保証」という目的から逸脱せずに、節税へとつながる保険について再考してみましょう。
このような生命保険への調査の強化は、今に始まったことではありません。保険料を経費扱いとする動きに対しては、金融庁だけでなく国税庁も1987(昭和62)年に「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」という法令解釈通達を出しています。さらに1996(平成8)年と2008(平成20)年にはその改正も行いました。ところが、その都度、生命保険会社は節税につながる新しい保険を開発してきたという経緯があります。
しかし保険の目的はあくまで「万が一の時のための保証」です。今回、金融庁は節税や返戻金などを特徴にしていることが、本来の目的から逸脱していると判断したようです。また解約返戻金が多額化したことも問題視しています。金融庁は、各保険会社に対する調査で返戻金が多額となる算出根拠の説明を繰り返し求めているそうです。
執筆=伯母 敏子
プロフィール:税理士。大学卒業後、大手リース会社の営業職として中小企業経営者に向けた融資、リース契約、保険の販売等さまざまな金融商品の取り扱いを経験。その後、個人税理士事務所へ転職。平成27年に税理士試験合格。平成28年4月に税理士登録、平成29年11月に伯母敏子税理士事務所として独立開業。現在は新宿区神楽坂にて中小企業の経営、事業承継、法人成り、クラウド会計、経理事務改善の提案等のサポートを通じて中小企業経営者向けサービスを提供している。
https://uba-tax.com/
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