戦国武将に学ぶ経営のヒント(第84回)戦国武将の失敗学① 信玄・謙信もつまずいた「後継問題」

歴史・名言

2022.05.16

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 個性あふれる武将たちがしのぎを削った戦国時代。そこには各将の華々しい活躍とともに、数々の失敗がありました。そうした武将の失敗から現代の経営者やビジネスパーソンが学ぶべきことを考える「戦国武将の失敗学」シリーズ、第1回のテーマは「後継」です。

 企業において、事業承継は大きな問題です。経営者が優秀で存在が大きいほど、誰に、いつ事業を継がせるのかが企業の命運を大きく左右することになります。これは、戦国時代の武将も同じでした。

 後継に失敗した武将として名前が挙がるのが、上杉謙信です。謙信は約70戦して負け戦が2回だけだったといわれるほどの圧倒的な戦績を誇り、軍神との異名を持つ武将。武田信玄と1553年から5度にわたって戦いを繰り広げた川中島の戦いは有名です。1577年の手取川の戦いでは柴田勝家率いる織田軍を撃破し、その強さを改めて知らしめていました。

 しかしその翌年、謙信は急死してしまいます。謙信は一生不犯で通し、正室も側室も置かなかったため実子がありませんでした。その代わり養子をもらい受けており、その中から跡を継ぐ者を探すことになります。

 4人いた養子のうち、2人はすでに他家に入っていたため、候補は景虎と景勝の2人に絞られました。景虎は関東の名門・北条氏の出身。謙信が北条氏と同盟を結んだとき、関係強化のため上杉氏に入りました。一方、景勝は謙信の姉・仙桃院の子で、どちらも有力です。

 景虎と景勝は家督をめぐって対立。家臣も景虎派と景勝派に分かれ、1578年、御館の乱に発展します。この戦いは当初景虎が優勢でしたが、景虎側に付いていた武田勝頼と景勝が和睦を図り、勝頼が戦を離れたことから戦況が変わり、景勝の勝利に終わりました。

 景勝が当主となって後継者争いには決着がついたものの、家を二分しての激しい戦いは足掛け3年に及び、上杉家は疲弊。最強を誇った上杉軍は戦力を落とし、織田信長に攻め込まれて大きく領地を失い、衰退の一途をたどることになりました。

 謙信の死は急に襲った脳卒中のためとされており、謙信自身も予期していなかったのでしょう。しかし実子がない中、いつ命を落としてもおかしくない戦国の世において、48歳という年齢になっても後継者を明確にしていなかったのは謙信の落ち度でした。

 家臣の中には景虎派も景勝派もいたにせよ、謙信が景虎、景勝のいずれかを家督を継ぐ者として明確に指名していたら、家を二分して血を流して争うような事態を避けられた可能性は十分にあると思われます。

 後継に成功しなかったという意味では、謙信のライバルである武田信玄も同じです。急死した謙信とは異なり、信玄は長く病を患っており、死が迫っていることを悟ったときに遺言をしました。

思いを継ぐ人物を指名できなかった、信玄の失敗…

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