脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第41回)大風呂敷広げた「プロキシ」

ネットワークセキュリティ

公開日:2021.05.19

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 何度、説明されてもなかなか理解できないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、聞き慣れないけれど、きっと会社でも使っている「プロキシ」だ。

「君、新しいパソコンがインターネットにつながらないぞ」(社長)

「すみません。まだプロキシの設定をしていませんでした」(総務兼IT担当者)

「何?フロシキ?パソコンを風呂敷に包んでどうするんだ」

「風呂敷ではありません。プロキシは社内ネットワークからインターネットへ接続する際のセキュリティ対策です」

「よく分からんが、パソコンがインターネットに安全につながるならすぐやってくれ」

パソコンの代理でインターネットへ安全に接続

 プロキシは英語で「代理」を意味します。社内のパソコンからインターネットへ接続する際、いったん社内ネットワークとインターネットの間に置かれたプロキシ装置(サーバー)に接続します。プロキシサーバーがパソコンの代理でインターネットへ安全に接続する仕組みです。

プロキシサーバーを中継してインターネットに接続すればセキュリティ対策になる

Q プロキシのメリットを教えてください

 社内のパソコンからインターネットへ接続する際、プロキシサーバーを中継すれば、接続元のパソコンが外部から見えなくなります。そのため、サイバー攻撃で狙われにくくなります。

 また、プロキシサーバーにセキュリティ機能を付加できます。パソコンからインターネットを利用しようとすれば、プロキシサーバーを必ず中継します。プロキシサーバー側で業務に関係ないWebサイトへの接続を制限したり、パソコンのアクセス記録を取ったりできます。セキュリティ対策を強化できるのです。

Q セキュリティ以外のメリットを教えてください

 インターネット接続時にパソコンの中継点となる仕組みを使い、業務でよく利用するWebサイトの情報を一時的にプロキシサーバーに保存できます。社内ネットワーク上の各パソコンから同じWebサイトにアクセスする際、プロキシサーバーに一時的に保存されたデータにアクセスすれば、インターネット上のWebサイトのデータを一から読み込む必要がなくなるので、パソコンで表示するWebサイトの反応速度が速くなります。

Q プロキシの注意点は?

 VPNと混同されるケースがあります。VPNは認証と暗号通信技術を用いて仮想的な閉域網を設け、安全に通信するものです。インターネット接続にもVPNを利用する場合はあり、本社と営業所、テレワーク中の自宅から社内など、拠点間の安全な通信に利用されるのが一般的です。

 一方、プロキシはインターネット接続時のパソコンの安全対策に主眼が置かれ、VPNとは目的が異なります。セキュリティ対策と一口に言っても、さまざまな方法があります。自社のセキュリティの課題は何か、どんな対策が必要なのかを専門家に相談するといいでしょう。

インターネットへの接続以外も代理で

「社長、プロキシの仕組みを理解していただけましたか。パソコンの代理でインターネットに接続してくれるんですよ。社長の新しいパソコンもプロキシの設定をしますから、ちょっと待っていてください」(総務兼IT担当者)

「代理と言われても、ワシにはなかなか理解できん。代理でワープロ文書を入力してくれるほうが助かるんじゃが」(社長)

「社長、文書の代理入力くらいなら、私にお任せください。プロキシ設定と同様にいつでもやります」

「君はいつでも大風呂敷を広げるが、すぐにやったことがないじゃないか。まず、フロシキだか何だかをやってから大口をたたきなさい」

※本文中の会社名、商品名は各社の商標、または登録商標です

執筆=山崎 俊明

【MT】

審査 24-S706

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